学習能力の発達を調節するタンパク質を発見!
~成長期でのはたらきが、おとなの脳機能を左右する~

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概要

私たちの脳には、1000 億以上の神経細胞(ニューロン)があります。これらは互いに突起(神経突起)を延ばして結びつくことによりネットワーク(神経回路)を作り出し、記憶、学習、思考、判断、言語といった高いレベルの機能(高次機能)を果たしています。このような神経回路は成長期にさかんに作られ、おとなになってからの脳のはたらきを支えていると考えられています。ただし、そこにどのようなしくみが存在し、どのような分子が関与するのかといったことは、よくわかっていません。

今回、国立遺伝学研究所 形質遺伝研究部門(総合研究大学院大学 生命科学研究科教授兼任)の岩里琢治教授、理化学研究所 脳科学総合研究センターの糸原重美シニアチームリーダー、大阪大学大学院 連合小児発達学研究科の橋本亮太准教授らのチームは「αキメリン」というタンパク質に注目し、このタンパク質が脳の機能にどのような影響を与えているかを調べました。αキメリンにはα1 型(α1キメリン)とα2 型(α2キメリン)がありますが、それらの遺伝子をさまざまに改変したマウスを作り、行動実験を行ったのです。その結果まず、両方のタイプのαキメリンがまったくはたらかないマウスは、正常マウスの20 倍も活発に活動することがわかりました。次に、このマウスはおとなになってからの学習能力が高いことが明らかになりました。α1型だけをはたらかなくしたマウスや、おとなになってから両方のタイプがはたらかないマウスの学習は正常であったことから、学習能力には、成長期におけるα2 キメリンのはたらきが鍵であることもわかりました。

リリース日

2014年8月18日

掲載紙

Cell Report

新聞報道

  • 日本経済産業新聞「学習能力の発達を調整 遺伝研などたんぱく質を発見」
    (2014年8月22日 朝刊 10頁)
  • 伊豆新聞「タンパク質αキメリン 学習能力影響を解明−三島・遺伝研など」
    (2014年8月22日 朝刊3頁)
  • 静岡新聞「「αキメリン」学習能力影響 タンパク質 脳研究で期待−遺伝研」
    (2014年8月22日 朝刊 27頁)
  • 化学工業日報「蛋白質「αキメリン」に学習能力発達調節機能、国立遺伝研などが発見」
    (2014年8月27日 5頁)

テレビ報道

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大阪大学大学院大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合小児発達学研究科附属
子どものこころの分子統御機構研究センター
(大阪大学大学院医学系研究科情報統合医学講座精神医学教室 兼任)

橋本 亮太

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